納木錯はチベット語で、「天空の湖」という意味。チベット北部の高原の奥地に位置し、ラサから240㎞離れている。湖面の標高は約4700メートル。東西に約70キロ伸びており、幅は南北に約30キロ、面積は2000平方キロメートル以上で、標高が世界一の塩湖である。湖の西南岸に延々とした雪山のニェンチェンタンラ (念青唐古拉)山脈があり、高くそびえ立っている雪山の影は湖に逆さに映り、安らかで穏やかな雰囲気になる。湖水はニェンチェンタンラ山脈からの雪解け水からなる。
納木錯は、標高が高いだけでなく、非常に深い湖でもあり、中心の深さは約100メートル、全体の貯水量は約870億㎥もある。また、中国科学院青蔵高原研究所の測量結果によると、湖の中心の底にある沈殿物は800メートル以上の厚さで、底部は100万年以上前から堆積したものと見られている。
ナムツォはチベットの三つの聖なる湖の一つで、未年(旧暦の羊年)のサカ・ダワ祭りの期間になると多くの人が巡礼に訪れる。湖の南西にはタシドル寺がある。ニェンチェンタンラ山脈で最も美しい場所として知られている。そこの岩窟の庵は何世紀間にも、巡礼者が集まった。伝説によると、未年(羊年)になると仏、菩薩、仏教を守る神々がナムツォへ集まって来る、巡礼に来る人々がが湖をまわりながら、一回だけお経を唱えれば、普段の十万回数の念仏より願いごとが叶える。そのゆえ、未年になると、お坊さんたちや信者たちは長い旅をしてても、ナムツォへ巡礼に来る。2005年には道の舗装が完成し、ラサからのアクセス・観光インフラ開発が容易となった。