中国南東部の安徽省にある小さな村・西逓(せいてい)と宏村(こうそん)は数少ない中国の伝統住宅が並ぶ村。ここは「徽派建築」と呼ばれる、漆喰を塗った白い壁と濃灰色の瓦屋根が並び、今でも14〜20世紀の住居に、街路や水利施設などが当時のまま残っている。
この2つの村々の安徽省独自の建築物は独特で「徽派建築」と呼ばれる、漆喰を塗った白い壁と濃灰色の瓦屋根が並び、切妻屋根は豪華な装飾が加えられているというのが特徴。厳格な家長制度があり、儒教が根付いた封建社会の文学者や官僚の文化的思想が反映されたもの。ここは600年以上にも歴史を持ち、科学や文化、美術などが発展し、ここは中国の村の典型的な例となている。
宏村は、世界遺産に登録されている黄山の南西に位置する集落。ここも11世紀の北宋時代に汪氏一族によって建設。集落の南には川の水を引き入れ、広大な人造湖である南湖が作られた。遠くから眺めると南湖に浮かぶように明清代の古民家が137棟が現存。中でも”承志堂”は安徽省南部の古民家の特色をよく伝えている。その他の建築物は、「楽賢堂」、月沼の北岸には汪氏の祖先を祀った「楽叙堂」、南湖の北岸にある「南湖書院」などがある。中国国内では、映画《臥龍蔵虎》名シーンの一部が撮影されたことでも有名。
村全体が牛の体にみたてられており、村の西には雷岡という小高い丘が牛の首、村の入り口にそそり立つ2本の木が牛の角、村の前、後ろにある4つの橋が牛の脚という具合である。なんと、内部構造まで牛の内臓に例え、牛の小腸に当たるクリークは山の泉を引いて各家の前まで運ばれ、生活用水として利用されている。牛の胃に当たるのは、村内にある半月型の美しい沼「月沼」。牛の大腸に当たるのは村の南にある大きな「南湖」だ。その、田園風景、山と水の織り成す風景、美しいクリークによって「絵のなかの郷里」と呼ばれている。
西逓
11世紀に起源を持ち、山々に囲まれた地に3つの小川に沿って建造され、もともと河川の西側に建造されたことから「西川」と呼ばれ、物品を輸送する際の駅として利用されたことから「逓(宿場)」となり、「西逓」となりました。
ここは15世紀に商業で成功し、建築物や道路、橋などが建造。その後も発展していき、村には224もの古民家が残り、「古代民居の博物館」と呼ばれている。特に村の前にあり、門のような存在である「牌坊(ぱいろう)」は豪華な装飾が加えられた建造物で有名。どこを切り取っても絵になる趣ある風景を求めて、撮影やデッサンに訪れる人が引きも切らない。