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元陽棚田(紅河ハ二棚田)

中国・雲南省の山岳地帯に驚きの風景がある。険しい山肌に延々と連なる無数の水田。何万本もの畦の曲線が網の目のように重なり、稲穂のじゅうたんが波打つ「紅河ハニ棚田」。総面積は5.4万㎢、国連食糧農業機関が世界農業遺産に認定した“世界最大の棚田群”である。山の斜面を覆いつくすほどの棚田は、およそ3000段にも及ぶ。最大勾配75度にもなる急峻な斜面を、標高1800mまで切り拓いた“天空の棚田”になっている。

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ハニ族がこの棚田を作った哀牢山は、雲南省を流れる紅河の川沿いにある山。もともとチベット高原で暮らしていたハニ族が他民族に追われ、奥深いこの地にたどり着いた彼らは、気の遠くなるような労力で山肌を耕し、独自の灌漑技術と農法を磨いてきた。ハニ族は哀牢山の上部に集落を作り、周囲の山開墾して稲を育てながら暮らし始めた。その後1300年かけて山の下方へ土地を耕してゆき、棚田を山の斜面全体に広げた。山の上にあるハニ族が暮らす集落と棚田の一番下の標高を比較すると、その差は500mもある。これは、なんと130階建ての超高層ビルに相当する高低差。お米の収穫期には棚田の下から上の集落まで、お米を運ぶために1日3往復することは珍しくないそうで。500mの標高差と3000段という棚田の広さを考えると大変な労力である。

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この大きな棚田は常に水で潤っている。その理由は、森や霧など自然を巧みに利用した棚田は、1300年の間にできあがったの巨大な“水の循環システム”にある。棚田の上にはハニ族の集落があるが、さらにその上には森がある。雨の多い時期は、森に蓄えられた雨水が集落や棚田へ流れてきて、豊かな生活用水や農業用水となった。雨の少ない時期には棚田の水が蒸発して霧となり、風で森へと運ばれて再び集落や棚田を潤す水となるのである。この“循環システム”によって水が枯れることない、1年中棚田に水を張っておくことが可能。棚田に1年中水があると、コイやアヒルが棚田の害虫や雑草を食べてくれる。このおかげで、ハニ族の人々は農薬を使わずにお米を作ることが出来ているのである。

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山一面に広がる美しい棚田が特に美しい姿を見せてくれるのは、稲刈りを終え、冬を迎える前の季節。稲を刈り取った後も棚田には水が張られたままなので、水面がまるで鏡のように光って見える。そして、1日のうち棚田が最も輝く瞬間は「夜明け」。朝日を浴びてきらめく3000段の棚田が霧の中から現れる光景は、言葉にならないほどの美しい。